リハビリテーション室
リハビリテーション室のご紹介
当院リハビリテーション室は、入院および外来の方を対象に、以前の生活が早期に再獲得ができるよう、日々の診療をおこなっています。大きく【理学療法部門】、【作業療法部門】、
【言語聴覚療法部門】の3部門があり、各専門知識・技術を生かしながらリハビリテーションを提供させていただいています。
また国内・外での研修会、講習会に積極的に
参加し、最新の知識・技術の習得に努め、
臨床に生かす努力を続けています。
リハビリテーション室集合写真
理学療法部門
日常生活に必要な寝返り、起き上がり、歩行などの基本的な動作能力の回復・治療を専門とする部門です。多くのスタッフが専門的な資格を有しており、障害に対する治療を行うばかりではなく、今後予測される症状などに対しても指導やトレーニングをおこなっています。
<対象疾患とそれに対する理学療法の役割>
1.呼吸器疾患の方(例:慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息 など)
●呼吸介助、指導をおこない、呼吸が楽に行えるよう治療する
●“痰”を出しやすくする(排痰トレーニング)
●持久力を向上させ、労作時の息切れを軽減させる など
呼吸介助および排痰訓練
2.スポーツ障害の方(例:野球肘、テニス肘、足関節捻挫、靭帯損傷 など)
●スポーツ中に生じた“痛み”を軽減し、理想的なフォームなどを指
導する
●再発防止のため、選手へのテーピングを施行、指導する
●適切なトレーニング方法の指導 など
これらの治療を「日本体育協会公認アスレチック トレーナー」といった専門的資格を有する理学療法士 を中心に担当させて頂きます。
足関節テーピング治療
3.運動器疾患の方(例:五十肩、変形性膝関節症、頸椎症、坐骨神経痛 など)
●筋肉の痛みに対し、“軟部組織モビライゼーション”を用い、軽減
する
●動きが悪くなった関節(関節拘縮)に対し、“関節モビライゼー
ション”を用い、 動きを再獲得する
●痛みが増悪しないよう、安楽な姿勢や方法を指導する など
これらの治療を「認定徒手理学療法士」といった 専門的資格を有する理学療法士を中心に担当 させて頂きます。
腰の関節由来の痛みに対する治療
~関節モビライゼーション~
4.脳血管疾患の方(例:脳梗塞後、脳出血後 など
●寝返り、起き上がり、座位保持、歩行獲得を目的に治療する
●麻痺により不自由となった体、足の動きを改善する
●自分で排泄がおこなえるよう練習する など
最大限に能力が発揮できるようお手伝いします。
5.内部障害の方(例:心疾患、糖尿病 など)
●体力が低下しないようトレーニングしていく
●運動にて血糖コントロールをおこなう
●運動を習慣化することで健康増進を図る
6.その他
病気やケガなどの障害により、自宅での生活が不自由になった方に対し、適切な住環境整備の指導や退院後の在宅サービスの助言をおこないます。また地域での健康活動などにも寄与します。「福祉住環境コーディネーター2級」、「地域認定理学療法士」、「介護支援専門員」といった専門的資格を有する理学療法士を中心に担当させて頂きます。
(施工前) (施工後)
住宅改修例 地域での健康講座
(勝手口段差部分への手すり設置)
作業療法部門
日野病院の作業療法では、怪我や病気になられ、入院された直後より、患者様の退院に向けた支援をいち早く行っています。早期から身体に対するリスク管理を十分に行いながら、食事をする、トイレをするといった日常生活に必要な動作練習を行っていきます。また、その人が今まで自宅で担っていた役割(家事動作など)を重視し、その動作の再獲得を目指しながら、趣味・余暇活動の実施も行っています。必要に応じて自助具、福祉用具、住環境などの検討・調整を多職種と共同でおこない、その人が地域の中で安全に、安心して生活していけるよう支援しています。
入院している方だけでなく、外来通院をされている方に対しても作業療法を実施しています。加えて、在宅サービスを利用されている方で作業療法の指導が必要な方や施設入所をされている方でより生活しやすいように援助を求められる場合にも作業療法の視点から指導、相談を受けることもあります。この地域の中で生活されている住民の方がこの地域でより安心して生活出来るように支援しています。
<対象疾患とそれに対する作業療法の役割>
1.脳血管疾患の方(例:脳梗塞後、脳出血後 など)
●麻痺の腕、手が動くように治療する
●高次脳機能障害(記憶力、注意力の低下など)に対して治療する
●利き手交換をする
●日常生活(食事をする、お風呂に入る、家事をする等)がおくれるよう練習する
太い柄のスプーンを持っての 病室でのトイレ動作練習
模擬的な食事練習
退院に向けて服薬カレンダー作り
2.運動器疾患の方(例:上肢・手指の骨折、脊椎圧迫骨折 など
●関節を動かし、拘縮が生じないよう予防を行う
●自助具を検討、作成する
●退院先の環境を見て、手すりなどの改修が必要かどうか検討、指導する
指のつまみ動作訓練 ソックスエイドを利用しての靴下を履く練習
3.呼吸器疾患の方(例:誤嚥性肺炎、慢性閉塞性肺疾患など)
●呼吸困難が生じないよう、生活方法を指導する
●寝たきりを防ぐため、早めに離床していく
4.内部障害の方(例:透析中の方、心疾患 など)
●体力が低下しないようにトレーニングしていく
●体に負担がかからないような住環境整備を指導する
5.その他
●その人が興味のある作業(手芸、園芸など)を行い、出来ることを伸ばしていく
以上は一例です。作業療法士はその人の疾患ばかりではなく、その人らしく生活出来るように、その人に合わせた作業療法を実施しています。また、その人の家族の方の意見も取り入れ、家族を含めた指導、支援を行っています。作業療法では、その人が「したい」「できるようになりたい」と思うことへの支援を行っています。
気軽に相談、声をかけてください。
言語聴覚療法部門
言語聴覚士は主に話すこと・考えること・食べること・聞こえ等の口と耳に関係する障害にリハビリテーションを行います。
<対象疾患とそれに対する言語聴覚療法の役割>
1.脳血管疾患などで起こる言語障害
ことばが出てこない、ことばが理解できなくなった、スムーズにしゃべりにくくなった、などの症状に対するリハビリです。患者様の症状に合わせて、ことばを聞き取ったり話したりといった練習の他に、絵や写真や音楽を使用したり、口腔の体操を行い発話の練習を行ったりします。退院後の生活に必要と思われるコミュニケーション方法を練習し提案していきます。
2.脳血管疾患などで起こる高次脳機能障害
脳卒中後に集中力がなくなった、記憶力が低下した、注意力が落ちた、動作がぎこちなくなって時間がかかるようになった、などの症状が現れることがあります。これらの症状があるとコミュニケーションに支障をきたすことがあります。患者様の生活に即した集中力や記憶力を鍛える練習のほか、パズルやゲームも取り入れて、これらの能力の向上を図っていきます。
3.脳血管疾患の後遺症・肺炎後の廃用症候群・認知症の進行・咽喉頭や口腔の術後などで起こる摂食・嚥下
障害
摂食・嚥下障害は脳卒中後だけに起こるものではありません。飲み込みにくくなった、よくむせるようになった、食べると熱を出すようになった、など食べることの障害に対するリハビリです。食べる機能を向上させるには口腔を清潔に保ち、舌・唇・歯などの口腔の機能維持向上が大切です。患者様に合わせた口腔ケアと口腔リハを行い、「食べられる口」作りに努めます。食べる時の適切な姿勢づくりや食事形態の提案なども行います。誤嚥(食物が気道に入ってしまうこと)リスクが高く、口からの食事を止められている方にも、楽しみレベルの摂食ができるよう支援していきます。
また、当院では必要に応じて嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)も実施可能です。
※嚥下造影検査(VF: videofluorography)
X線透視下で造影剤を入れた食物を食べてもらうことで、口腔から食道までの食物の動きを実際に見ることができます。この検査によって、咽頭や喉頭の形態を見ることができ、また、誤嚥を防ぐ姿勢や食べ方、適切な食形態などを検討することもできます。より適切な機能向上のリハビリテーションの方法を探し出すこともできます。治療方針を決定するのに役に立つ検査です。
※嚥下内視鏡検査(VE: videoendoscopy)
鼻から内視鏡を入れることで、食べる時の食物の動きや咽頭や喉頭の様子を実際に見ることができます。内視鏡を使用するため、嚥下造影検査とは違って、実物の咽頭・喉頭の粘膜を見ることができますが、詳しい食物の動きは嚥下造影ほどのわかりやすさはありません。嚥下造影では造影剤を入れた食物を使う必要がありますが、嚥下内視鏡は普段の食物で実施することができます。嚥下内視鏡も治療方針を決定するのに役に立つ検査です。
●平成27~28年のVFとVEの件数
VFの画像
(口から喉にかけて横から見た図:食物の動
きや口腔器官などの動きがレントゲンに映
し出されます)
4.その他
補聴器などを代表とするコミュニケーションに必要な機器の選定及び運用に関するアドバイスも行います。
↑ページの先頭へ