日野病院 病院長就任のご挨拶-病院と地域との新たな連携を目指して- 平成28年10月掲載
この度櫃田前病院長の後を受け、病院長に就任致しました。よろしくお願い致します。
日野病院は日野町、江府町、伯耆町を母体とする自治体病院です。その役割はこの地域の住民の健康を守り、病気を治すことと認識しています。この役割を全うするために粉骨砕身働きたいと思っています。
さて、住民の皆さんは日野病院のことをどれくらいご存じでしょうか。私は7月から日野病院に赴任し、その充実ぶりに驚きました。日野病院は100床足らずの小さな病院ではありますが、19科と多くの診療科をそろえており、各専門医の診察を受けることができます。設備もMRI、CT、超音波、内視鏡と充実しており、治療においても内科的治療はもちろん、消化器外科、整形外科、眼科の高度な手術が可能な設備を整えています。透析室もあり、遠くまで通院することなく、透析が受けられます。リハビリや訪問診療(訪問診察、看護、リハビリ)も先進的に行っており、都市部以上の医療サービスを提供しています。これまでこの地域の住民の医療をできるだけ日野病院で完結できるように、歴代の病院長と病院スタッフが努力されてきた結果だと思います。このことをもっと多くの住民の皆さんに知っていただきたいと思います。
次に私が考える地域医療には3つのポイントがあります。
それは
QOL: Quality of Life(生活の質)
QOC: Quality of Community(地域の質)
QOH: Quality of Hospital(病院の質)
です。この3つをバランス良く、向上させることが全体の発展につながります。そしてそれには病院だけでなく、地域の皆さんの協力が必要です。つまり、病院は患者さんのQOLを守ることを最大の目的にし、そのためにQOHを向上させるべく日々努力し、その結果、直接、間接にQOCに貢献します。住民の皆さんは
自分自身のQOLを守るために病院で診療を受け、QOCのために地域にも貢献しておられると思います。そして QOH向上のため病院への協力も是非お願い致します。それは特別なことをするのではなく、日野病院をかかりつけ病院としてどんどん利用していただくことです。この周辺地区の人口は減少しており、否が応でも患者数は減少することになります。患者数の減少は病院の存立を困難にし、病院の縮小、医師の減少を招き、残った医師の負担を増やし、病院の質(QOH)を低下させます。地域の皆さんが一人でも多く、日野病院をかかりつけ病院としてもらえれば、まだまだ、病院はQOHを保って、あるいは向上させながら存続することができます。前述のように設備は十分であり、さらに高度な医療が必要な時は大学などとの連携もスムーズに行えます。
日野病院は「地域を支える医療」を提供します。地域の皆さん、患者さんは「地域で支える医療」にご協力をお願いします。QOL、QOC、QOHは病院と地域の皆さんで作り上げるものです。地域と病院が互いに協力し、鳥取県で、日本で最も充実した地域医療を築きましょう。
平成28年10月