"日野病院組合のあり方について”から5年が経過して - 平成22年5月
今年4月は、汗ばむような陽気になったかと思うと、次の日には霜が降りるといった寒暖の差が激しい日々が続きました。5月の連休となり、ようやく春の心地よさが感じられるようになり、ほっとしています。
昨年度は新型インフルエンザ対策に追われた慌しい1年でしたが、長い間空席であった副病院長に大谷眞二外科医長が就任したり、週間ダイヤモンドの「頼れる病院ランキング」にランクインするなど嬉しい出来事もありました。
平成22年度は7人の新しい職員(医師2名、看護師1名、放射線技師1名、事務職員3名)を迎えてのスタートとなりました。新しい職員といっても殆どが退職者等の後任であり、実質的には日野病院組合全体の職員数に大きな変化はありませんでした。本年度も私たちにとっては忙しい日々が続くことになると思いますが、地域の医療、福祉を支えるために一生懸命頑張る所存ですので、ご支援の程よろしくお願いいたします。
さて、平成17年に日野病院組合あり方検討委員会から、日野病院組合のあり方について答申されてから5年が経過しました。この答申により、日野病院組合が「来ていただく医療」から「出かけていく医療・近づいていく医療」へと大きく方向転換したことについては今までも何度かお話申し上げました。しかし、この間にも日野病院組合全体、あるいはそれを取り巻く環境は大きく変化しました。
例えば人口に関してですが、日野郡では平成17年に13,789人であったものが、平成22年では12,530人になると予想されています。5年間で実に1,200人(年間240人)もの人口が減少するとの見通しです。高齢化率40%に達する地域の高齢化も問題です。しかし、もっと深刻なのは医療者の高齢化が進んでいる点です。平成20年に日野町の松田先生が廃業されたのは記憶に新しいところです。また、日野病院では看護師の平均年齢が年々高くなっており(現在44歳)、今後多くの退職者が出る予定です。さらに大きな問題といえば、平成16年に導入された新医師臨床研修制度です。それをきっかけに、鳥取大学附属病院に残る研修医が激減しました。加えて、附属病院が独立行政法人化されたため、鳥取大学からの医師の派遣は年々難しくなっています。
このような厳しい状況の中で、私たちは今後どのように進んでいくべきなのでしょうか。
日野病院経営安定化プラン(ホームページに記載)に示しましたように、経営形態の見直しや病院の機能分担・統合に取り組むことも必要かもしれません。しかし、それらは日野病院組合の規模を縮小させ生き残りを図る方策であると言っても過言ではありません。私は本年度より次世代を担う若手職員にこの難しい問題に取り組んでもらおうと考えています。若者の柔軟で大胆な発想力により、必ずや日野病院組合の新しいあり方が提示されるものと信じています。