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新型コロナ感染拡大の原因は? 行動変容のためにすべきこと -令和3年9月

 この原稿を書いている今はオリンピックの真只中、日本選手の大活躍で金メダルはすでに過去最高となっていま。本来なら日本中が大盛り上がりのはずが、新型コロナの急速な広がりのため今ひとつ盛り上がりに欠けるようです。オリンピック開催が新型コロナ感染拡大の原因のようにいう人たちもいるようでが、これは全く非科学的な考察です。人は原因のわからないもの対しては、手近に原因となりそうなものを見つけるとそれに責任を負わせて、安心してしまう習性があります。自分以外の誰か、何かを原因とすれば自分がその責任から逃れることができるからです。しかし、これでは本当の原因を見つけることができず、正しい対策を講じることはできません。医師が患者さんを診断するときにも一つ原因を見つけると安心してしまい、別の、あるいは隠れた重要な原因を見落とすことがあり、医師はこのことに常々注意をしています。第5波の感染は70%以上が30歳代以下の患者であり、ワクチンをすでに接種している65歳以上の感染は極めて少ないことが分かってきました。日野郡・伯耆町住民の多くはすでにワクチンを接種していると思いますので、大規模な感染拡大はきたさないでしょう。
 それでは、ワクチンを接種していない若者層はどうして感染してまうのでしょうか。若い人は感染しても重症化しないと高を括っているのか、それもあると思います。しかし、後遺症に苦しんでいる若者もいることも知っているはずです。人の心には「動物的な心」「分析的な心」の2つがあります。「動物的な心」は刺激に対する瞬時の反応で、危険に対する回避行動や食欲、性欲なども含まれます。一方、「分析的な心」は状況を冷静に分析し、適切な判断、行動を行います。人はこの2つの心のせめぎ合いの中にいます。しかし、人間の行動により大きな影響を与えているのは実は「動物的な心」だといわれています。若者の行動は長い間の自粛に飽き飽きして、「動物的な心」にしたがった行動を取っているように思います。さらに、自分の意見を裏付ける都合の良いデータばかりを集めて、気入らない意見には聞く耳を持たない状態だと思います。これは確証バイアスと呼ばれ、比較的知的レベルの高い人にも起こるといわています。政府は感染拡大を防ごうと様々な呼びかけを行っていにもかかわらず、若者の行動変容が起こらないのはこのような心学的原因によるものです。それでは一体どうすればいいのでしょか。自分自身が「動物的な心」にしたがっていないか、確証バイスに陥っていないかを各個人が考えるしかありません。
 日野郡・伯耆町に新型コロナが広がらないように日野病院も医療面だけでなく、町報やせせらぎを通じて正しい新型コロナ情報を報告して行きます。