人の本性を制御できるのは道徳的行為 -令和4年5月
新この原稿を書いている現在(2022年4月14日)においてロシアがウクライナに侵略し、多くの一般市民を無差別に殺>戮しています。プーチン大統領の言い分はあまりにも身勝手でご都合主義で、普通の精神の持ち主であれば、とても認められないものであることはすぐに分かりそうなものです。今から200年以上前の哲学者であるカントは「人の本性は邪悪であり、それを防ぐために道徳や法が必要である。」と述べています。カントの道徳に沿った行為は「誰が行っても、良いことと思える行為」です。同じようなことを現在の日本の哲学者である内田樹氏が「世の中のすべての人が行っても社会が成り立つ行いが、行っても良い行為である」と述べています。大国だから行ってもいいと言う論理は道徳的行為ではありません。個人レベルでは、自分1人ぐらい手指消毒しなくてもいいだろう、少しぐらいの熱ならいいだろう、マスクをせずに病院に行ってもいいだろう、でも、みんなが行えば感染は広がり、社会は成り立たなくなります。新型コロナも2年以上感染が続き、皆さんの忍耐も限界に来ているかと思います。病院としても不必要になったルール、効果のないルールは廃止していこうと思いますが、定められたルールは厳守していただきますようにお願いします。今、新型コロナ感染はどこに起こってもおかしくない状態です。高リスク者を守るためには低リスク者の行動が道徳的であることを望みます。
さて、新年度になり医師の交代がありましたのでお知らせいたします。まず玉井嗣彦名誉病院長が退任され、後任に鳥取大学眼科教授であった井上幸次先生が就任されました。大学での高度医療の経験を活かして、より進歩した眼科医療を進めていただけるものと期待しています。整形外科は百田靖先生が赴任されました。百田先生は済生会江津総合病院で20年以上にわたり診療されていた先生で特に手術の腕前については定評のある先生です。内科では河村実穂先生と一昨年当院におられた下坂拓矢先生が赴任となりました。長年増員を望んでいた薬剤師として森田俊博先生に来ていただきました。森田先生は済生会境港総合病院では薬剤部長として薬剤部を統括され、薬剤の知識も豊富です。その他にも新人看護師2名、検査技師1名、臨床工学技士1名が入職しました。ベテラン、中堅、新人が良いバランスで活躍していただけると思います。
最後に昨年度の病院長賞を山形睦美看護師長、角嶋美鈴看護師の2名に授与しました。山形師長は2階病棟、外来看護師長として病棟業務の改善、後進の指導にあたり、新型コロナ感染対策においては最前線で検査、看護に対応されました。また、インフルエンザ予防対策や外来時間予約制度の効果を科学的に検証し、多くの論文・学会で発表され、研究マインドを持った看護師として若手の手本となったと思います。角嶋看護師は当院の透析室の立ち上げから現在まで、透析専門医のいない中、中心的に運営していただきました。透析患者にとって祭日がないのと同様に角嶋看護師も休みなく、勤務していただきました。地道な仕事ではありますが、病院が成り立つためにはこのように縁の下で黙々と働く人材が最も大切と考えています。局長賞としては事務局から新型コロナ感染対策で著しく増加した事務作業をテキパキとこなしてきた梅林花菜さん、3階病棟より長年「看護の宅配便事業」を進めていただいた山川千秋看護師、自ら研修を受け手術室の看護業務の充実に努めていただいた木村理絵主任看護師の3名が受賞されました。 今年度も日野病院は地域に根ざした、住民の望む医療を提供できるように努力していきます。