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かかりつけ医・かかりつけチーム・かかりつけ病院 -令和5年1月

 昨年、日野病院は自治体優良 病院表彰を受けました。さらに 2022年1 1月1 5日に自治体病 院協議会全国大会経営セミナーにおいて優良病院表彰を受けた9病院の中から当院を含む2病院が発表の機会を得て、講演をさせ ていただきました。そのとき、改めてかかりつけ医・かかりつけ病 院について考える機会を得ました。最近、財務省はかかりつけ医の法制化をしようとしています。しかし、その中身は医療費削減が目的であり、かかりつけ医の真の意義から行おうとしているわけではないようです。その先には医師の登録制と医療費を患者の人数単位にしようとしていると思われます。患者数によって医療費を決めれば検査や治療をしない方が医療機関の収入は増えることとなり必要な医療が行われなくなることは火を見るよりも明らかです。悪医が蔓延り、良医は駆逐されるだけです。現状でも、かかりつけ医の機能を全うすることは極めて大変です。かかりつけ医である限りは全科的な、総合的な知識が必要です。しかし、診療所の医師の多くは元々何らかの専門医であった場合が多く、専門以外の分野についても日々勉強して知識を更新しなければなりません。しかし、現実は 患者が複数の医療機関に罹って補っているのが現状です。将来を見 据えて全科的な総合的医療を身につけた総合診療医を育成することが必要です。また、高齢者では医療だけでなく、社会的、あるいは福祉的な問題も増えてきます。それらにも対応するため日野病院ではかかりつけ医という考え方ではなく、かかりつけチームによるかかりつけ機能を実践するかかりつけ病院という方式を目指しています。かかりつけチームには総合的医療を行うかかりつけ医、専門医、看護師、ソーシャルワーカー、薬剤師、栄養士、ケアマネジャーなどが含まれます。これを実践するのは診療所でも大病院でも困難で、当院ぐらいの規模の病院が最も適していると考えています。
 具体的には、かかりつけ医がかかりつけチームの中心として一般内科医あるいは総合診療医が担当し、患者さんを全科的、包括的、継続的に診療します。かかりつけ医が、専門医療が必要と判断すれば、日野病院の専門診療科に紹介し、並行しながら患者さんをみていきます。同じ病院なので情報の共有化もスムースです。専門診療科での精査・治療が終われば、かかりつけ医が必要な医療を継続していきます。患者さんにとって総合的医療と専門的医療の両方を過不足なく受けられるようにしており、安心して受診していただけると確信しています。 医師に相談しにくいことや、福祉の問題などはかかりつけチームの看護師やソーシャルワーカーなどに相談していただきます。小病院においてこそ医療レベルの高い診療を効率よく提供できると考えています。このようなかかりつけ病院方式はまだまだ試行段階であり、全国的にもあまり行われていないと思いますので、住民の皆さんのご意見も お聞かせいただければありがたいです。