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新年のごあいさつ -令和6年1月

 新年明けましておめでとうございます。長い間世の中に蔓延していた新型コロナウイルスは、消滅はしていませんが、その勢いは衰え、徐々に普通の風邪となってきているようです。しかし、私を忘れるなとばかりに昨年夏から季節外れと言ってもいいようなインフルエンザの流行がだらだらと続いています。選手交代といったところでしょうか。とはいえ、インフルエンザなら慣れた相手、戦い方は皆さんもよく知っています。ほとんどの方がインフルエンザワクチンを毎年欠かさず受けているので免疫力は強化され、抗ウイルス剤も潤沢にあるので迎撃態勢は万全です。後は過信をしないように毎日のうがい、手洗いをしていれば重篤な状態になることはないでしょう。医学がいくら進んでも,人類は感染症と闘い続けなければなりません。
 さて、昨年からの電気代、ガソリンなど燃料費の高騰、物価の上昇は、公定価格である医療費を収入源とする病院にとっては大変厳しい経営環境になっています。これまでは多くの患者さんに当院を利用してもらって,収入の増加を図ってきましたが、人口減少もあり、それも厳しくなってきています。今、日本の医療はコロナ後大きな曲がり角に来ていると感じます。従来品と比べてわずかな有効性しかない,あるいは統計学的には差があっても現実には効果を実感できないような高額な新薬がどんどん出て医療費が上昇する一方で、現在も効果が高くて、しかも安価な薬剤が生産されなくなって手に入らない状態になっています。私が医者になって以降、今日までこうしたことが日常的に起こるようなことはありませんでした。何が問題なのか、厚労省の薬事行政が原因なのか、市場の自由競争任せにしたことが、いい薬でも儲からなければ製造をやめてしまう様な結果をもたらしているのでしょうか。いずれにせよこのような歪みは、実際の現場の状況を把握せず、データだけを元に立案した政策に原因があります。2019年9月に公立病院の統合を進めようとした当時の厚労省の姿勢と現場を軽視しているという点では何も変わっていないように思えます。行政の責任が問われていると思います。日野病院は現場にどのようなニーズがあるのか、病院の最も重要な責務は何かを模索しながら、住民、行政(役場)、病院の三者が協力して最善の医療環境を維持したいと考えています。
 将来もこの日野郡,日野町に設備の整った病院を維持するために、ぜひ住民の皆さんには日野病院をご利用いただき、ご意見もお寄せいただければ幸いです。