統計からみた地域の姿-平成22年9月
今年の夏は記録的な猛暑が続いています。昨年が比較的気温が低かっただけに一層体にこたえます。炎天下を避けることは勿論ですが、特に高齢の方は室内にいるからといって油断しないでください。室内では気温が徐々に上昇するため、気がついたら体調が悪くなり病院を受診するといった患者さんが増えています。部屋に湿度計の付いた置くのも良い方法です。室温が28℃、湿度が60%を超えれば、まだ我慢できると思わないで、積極的にエアコンなどを使いましょう。
さて、鳥取県のホームページに「100の指標からみた鳥取県」という統計資料があるのをご存知でしょうか。自然環境、人口・世帯、経営基盤などの12の項目に分類される100の指標が全国、鳥取県、県内19市町村の間で比較されています。それを見ますと、この地域の意外な姿を知ることができます。
例えば、日野町を見てみましょう。すると、公立体育館数(人口10万人当たり)が県内最多でした。財政難とはいえ、スポーツ振興を図ろうとする町の姿が見て取れます。ちなみに、この指標については鳥取県は全国1位でした。また、消防団分の消防ポンプ自動車台数(人口1万人当たり)も県内最多であり、地域の消防活動が盛んなことが分かります。そのためか、平成20年度は出火件数が0とのことでした。さらに、住居別の交通違反者数(人口千人当たり)が県内最小でした。住民の真面目さが見て取れるのではないでしょうか。
ところで、健康・医療の項目はどうでしょう。まず目に付くのは日野町の女性の平均寿命が県内最長という点です。男性の場合も上から6番目であり、日野町は長寿の地域と言えそうです。次に目を引くのは、江府町の悪性新生物死亡率(人口10万人当たり)が県内で最低(最良)との結果です。隣の日野町が県内で3番目に多かったのとは対照的でした。この原因として検診に対する両町住民の姿勢の違いが挙げられるかもしれません。というのは、基本健康診査受診率が江府町は県内で2番目に高く、一方日野町は県内12番目という低さだったからです。しかし、若桜町は基本健康診査受診率が県内最高でありながら、悪性新生物死亡率も県内最高(最悪)であり、このことだけで両町の悪性新生物死亡率の差を説明することは出来ないようです。
最後に、医師数(人口1万人当たり)について見てみましょう。日南町、日野町、江府町それぞれの医師数から日野郡全体の医師数を計算すると16.2人となりました。これは米子市の場合(50.0人)に比較して大幅に少なく、全国平均(20.6人)よりもさらに少ない数でした。昨今の事情から、この地域の医師数は、今後減ることはあっても増えることは難しいと考えられます。医師を含め、限られた医療資源をどのように維持、活用していくかを地域全体で考えてゆくことが求められています。
平成22年9月