日野病院組合の近況 - 平成20年5月
吹き抜ける風がなんとも心地よい季節となりました。病院の外来に飾られた鎧兜と鯉のぼりが5月の訪れを祝っているようです。とはいえ、まだまだ朝晩が肌寒く感じる日も多く、どうぞご自愛くださいますようお願いいたします。
さて、日野病院組合の近況についてご報告させていただきます。まず、平成19年度事業決算についてですが、数日前にその概要が手元に届きました。詳細は次号のせせらぎでお知らせいたしますが、当該年度は新病院開設後初めて収益的収支が黒字となりました。経営安定化に対する長年の努力の結果であり、ご協力いただきました関係者の皆さまには心より感謝申し上げます。資金収支につきましては、既に数ヶ月前に大幅な改善が見込めることが判っていたため、鳥取県西部地震の際に発生した負債肩代わり分の半額4,700万円を日野町、江府町、伯耆町の構成3町に返還させていただきました。来年度の病院会計に同等の“ゆとり”が生ずれば、残り半額も返還する予定です。このことは3月18日の日本海新聞にも採り上げられ、少なからず反響がありました。
次に、本年4月から実施されている新しい診療報酬に対する私どもの対応について少し触れさせていただきます。今回の診療報酬改定の特徴の1つは、病・診の機能分化、在宅医療への志向がより鮮明になったことです。日野病院組合は平成16年(あり方検討委員会)以来、急性期医療から在宅医療までをカバーする“地域密着型の急性期病院”を目指して体制を整えてきました。しかしながら、入院患者さんの多くは高齢者であり、様々な慢性疾患を持つ方がほとんどです。したがって、急性期の病気が軽快しても、慢性疾患の安定化を図り在宅復帰していただくためには、どうしても入院が長期化いたします。従来、このような患者さんに対して、亜急性病床という病床が一般病床の1割に認められていました。新しい診療報酬では、その亜急性病床を一般病床の3割まで拡大できるようになりました。これにより、入院の長期化による在院日数の延長や病院経営に対する圧迫が軽減されることになると思われます。
亜急性病床の拡大に加えて今回の改定で私どもが注目しているのは、新しく創設された在宅療養支援病院です。これは、診療所のない地域において在宅医療の主たる担い手となっている病院に適用される制度です。そのような病院が行う在宅医療については在宅療養支援診療所と同様の評価が与えられます。既にご承知のように、長きに渡り当地域の医療を支えてこられた松田泰彦先生が勇退されることになりました。松田医院の廃院は誠に残念ですが、それに伴い日野病院が在宅療養支援病院となる可能性が出てきました。もしそうなれば、在宅医療のさらなる充実が図れるものと期待しています。
地域医療の崩壊が叫ばれるなか、日野病院組合は皆さまの健康と安心を守るべく今後も努力を重ねる所存です。どうぞ、ご理解、ご協力を賜りますようお願いいたします。