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待合室を見て思うこと - 平成20年9月


 「暑さ寒さも彼岸まで」ということわざを疑いたくなるほどの猛暑続きの夏でしたが、お盆を過ぎると本当に、突然涼しくなりました。体調管理が難しい季節ですが、ご自愛下さいますようお願い申し上げます。
 さて、日野病院に通院したことがある人なら、誰でも一度や二度は「いつまで待たせるんだ」と思われたことがあるでしょう。患者満足度調査や病院組合構成3町の住民を対象に実施したアンケート調査などを見ても、実に多くの患者さんが外来での待ち時間に不満を抱いておられます。
 厚生労働省の全国調査では、外来患者さんの診察前の待ち時間は、1時間未満が62.4%、1時間以上が24.7%(不詳12.8%)でした。私どもの待ち時間調査でも、日野病院の場合、1時間未満が55%、1時間以上が45%であり、同様な傾向でした。「3時間待ちの3分診療」とまではいきませんが、それに近い状況にあると言えそうです。
 日野病院を含め、多くの病院でどうして外来待ち時間が長いのでしょう。その最大の理由として、医師が少ない上に患者さんが多いというわが国特有の医療環境が挙げられています。経済協力開発機構(OECD)の報告書によれば、日本の医師数は人口1,000人当たり2.0人で加盟30ヶ国中27位という少なさです。一方、医師1人が1年間に診察する外来患者さんの数は7,000~8,000人で、加盟国の平均値の2.5~3倍に達します。
 もし医師が増え、外来患者さんが減れば、当然のことながら待ち時間は短くなります。最近になり医師養成数に関する厚生労働省の方針が「抑制」から「増員」へと変わりました。さらに、外来患者数に関して言えば、相次ぐ窓口負担の増額や薬の長期投与が可能になったために、2000年頃から多くの病院で減少に転じています。したがって、将来的に待ち時間は短くなる方向には向かってはいるようです。しかし、それが実感へと結びつくまでにどれくらいの時間がかかるかは見当もつきません。
 外来待ち時間の問題に対して、日野病院では自動再来受付機を設置したり、診療予約制を導入(科別)したりしています。これらは待ち時間そのものの短縮を図るための対策ですが、さらに、待ち時間が長いために生じる不快感の軽減を目的に、診察順番の表示、急患対応時のアナウンス、BGM放送なども実施しています。出来る限りの対応はしているつもりですが、待合室で診察をじっと待っている患者さんを見るにつけ、私どもは待ち時間を短くするためのさらなる努力が必要であることを痛感しています。しかし、その一方で、この問題の根本的な解決にはわが国の医療体制の変革が不可欠であるとの想いを深くしている今日この頃です。

平成20年9月