年頭所感―市場原理主義から社会保障重視へ― 平成21年1月
明けましておめでとうございます。平成21年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年、日野病院は日本医療機能評価機構による認定病院となり、その長い歴史に輝かしい1ページを加えることが出来ました。しかし、その反面、昨年は、内科医師が2名減となり、また、看護師についても9名の退職者に対し採用者は5名にとどまるなど、医療専門職の人材不足に泣かされた年でもありました。
言うまでもなく、医師、看護師不足は全国的な問題です。その最大の原因は医療費や社会保障費を抑制するために行われてきた医師、看護師の養成数制限です。このような医療・社会保障費抑制政策は、小泉政権時代に市場原理を一部導入することにより強化されました(混合診療の解禁や民間企業の参入)。しかし、市場原理主義の母国アメリカで、昨年後半、住宅バブルの崩壊をきっかけに大手金融機関の破綻が相次ぎました。このアメリカ発の金融危機は瞬く間に全世界に広がり、今や日本も「100年に1度」の不況にあえいでいます。
不況が長引いた場合に、医療や社会保障がどのような影響を受けるかは今後の重大な問題です。財源確保が困難になり、医療・社会保障費抑制政策がさらに強化されるとの予想もあります。そうなれば、医療崩壊は加速し、日野病院組合にも明日はなくなります。私どもが期待するのは、不況の原因となった市場原理主義が見直され、社会保障重視への政策転換が図られることです。これは、決してあり得ないことではありません。というのは、「産業」として見た場合、医療・社会保障には優れた経済波及効果(特に、雇用創出)があるからです。
私どもは、現在、人材不足により多大な負担を強いられています。それでも、私どもが頑張れるのは、自分たちが地域の医療を支えているのだという自負があるからです。どうぞ、日野病院組合の現状をご理解いただき、本年も引き続き暖かいご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。