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新型インフルエンザの拡大防止のために - 平成21年9月


 待ち望んだ梅雨明け宣言の後も、雨まじりの曇り空が続きましたが、盆が明ける頃から、ようやく青空が見られるようになりました。しかし、朝方はすでに涼しく、今年は梅雨から夏を経ることなく秋を迎えたような気がします。例年にない季節の移ろいとともに、日本列島は新型インフルエンザの流行に見舞われています。
 ブタ由来のインフルエンザ(H1N1)が持続的なヒト-ヒト感染を起こし、新型インフルエンザと呼ばれるようになったのは本年4月でした。感染は瞬く間に全世界に広がり、5月9日には国内初の感染者が確認されました。7月30日に見つかった日野病院初の患者さんは、鳥取県では38例目でした。
 当初、行政の対応が強毒性の鳥インフルエンザを想定したものであったため、日野病院は協力医療機関として、発熱外来の設置、入院病床4床の確保などを行いました。それにともなう人員の確保のため黒坂、二部診療所の診察日を削減いたしました。このことでは、診療所をご利用の皆様に多大のご迷惑をおかけする結果となり、心からお詫び申し上げます。幸い、病原性が強くないことが判明し、現在では新型インフルエンザも季節性インフルエンザの場合とほぼ同様の対応となり、8月から診療所の診察日も従来どおりの回数に戻しています。
 夏の訪れとともに、いったん収束すると思われていた新型インフルエンザですが、8月になっても感染は拡大し続けています。集団感染も多発しており、8月15日には国内初の死者が出ました。秋以降にはさらなる拡大が予想されており、私どもの病院でもそれに備えて対策の見直しを行っています。具体的には、発熱患者さんの待合室の新設、病室への簡易陰圧装置の設置などです。このようにハード面での対応はある程度可能と思っていますが、問題はソフト面、すなわち診療に従事できる人員の確保です。感染拡大の程度によっては、再度の診療所事業の縮小、さらには一部の外来の閉鎖、入院制限などを考慮せざるを得ません。
 舛添厚生労働大臣は、8月19日の新型インフルエンザの流行入り宣言で、このまま感染が拡大すると急激な患者の増加により医療機関への負担が増大し、重症患者への対応に支障が出る恐れがあることを指摘しています。また、それを防止するためには、国民一人一人が感染暴政対策を自ら実践することが重要と述べています。是非とも、手洗い、うがいの励行、症状が出た時のマスクの着用、外出の自粛、人に咳やくしゃみをかけない咳エチケットの徹底などを心がけたいものです。

平成21年9月